スパークリングサマーナイト

カクテル名前の世界

カクテル名を見て分かるのは、アルコール度数も軽めで飲みやすいものが目立つことだ。海外、とくに欧米では2000年以降、クラシックなカクテルが再評価されるトレンドが起きている。「ソルティドッグ」は直訳すれば「塩っぱい犬」ですが、これはイギリスのスラングで「甲板員」を意味しています。甲板は非常に太陽を遮るものがないため気温が高く、そこで働く甲板員は常に汗まみれで働いていました。そのため、グラスの縁に塩をつけたカクテルを「ソルティドッグ」と呼ぶようになりました。

バーのメニューを見ながら、カクテルの名前が目に飛ぶことがあります。ローマ数字の付いた「Classic 75」や、フランスの首都名を冠した「Parisienne」など、創造的な名前が飛び出します。

カクテルの名前の由来

カクテルの名前の由来としてもっともポピュラーなのが、そのカクテルを考案した人の名前や、その当時人気があったり、話題になったりした有名な人の名前から付けたというもの。このタイプのカクテルの中でもっとも有名なのが「マティーニ」。カクテルの代名詞と言われるマティーニですが、このカクテルを考案したニューヨークのホテルのバーテンダーだったマルティーニの名前から「マティーニ」と呼ばれるようになったと言われています。ただし、初期のマティーニに使われていたベルモットが、イタリアの「マルティニ・エ・ロッシ」というブランドのものだったからという説もあります。また、「ゴッドファーザー」というカクテルは、大ヒット映画をイメージして作られたものだと言われています。カクテルの名前の中には、それが生まれた場所や、そのカクテルにちなんだ場所の名前が付けられているものもあります。

カクテルの名前には、様々な由来があります。人名、地名、事件、物語、などの要素を組み合わせたり、英語圏ではじまりの頭文字で名前を付ける慣習があります。

なので、バーテンダーも客に軽くて甘口系のものを勧めがちだった（実際のバーの現場では辛口系を好む客の方が多いにもかかわらず……）。しかし欧州では、米国から海を渡ってきた腕利きのバーテンダーたちのお蔭で、20年代、カクテルの黄金時代が幕を開けた。「アメリカン（American）」は、ロンドンやパリでは「最新流行の」を意味する流行語になり、米国仕込みのカクテルが楽しめる酒場は、「アメリカン・バー」と呼ばれ、紳士淑女の社交場として賑わうことになった。ジン・ウォッカ・ラム・テキーラと4種のスピリッツが使われており、度数も高めのカクテルですが、まるで紅茶のような味わいをしており飲みやすいことから、女性からの人気を集めていました。一方、日本はどうかと言えば、ここ30年ほど人気ランキングにほとんど変化はない。

それが転じて「コックテイル」、つまり「カクテル」になったというものです。アメリカで独立戦争が行われていた頃、ニューヨークのバーでは独立軍の兵士に向けてローストチキンが振舞われていました。実はこのローストチキンは、半独立派の地主の家で飼われていたもの。ローストチキンに使った鶏の尾の羽根が様々な酒瓶に飾られていたのを見た独立軍の兵士が「カクテル万歳」と叫んだことから、ミックスされたお酒がカクテルと呼ばれるようになったという説です。また、カクテルの語源にはフランス語発祥となる「コクチュ説」もあります。

たとえば、有名な「マーガリータ」は、メキシコの地方、コアウイラ州の州都、サルティーヨで創造されたと言われています。名前は、メキシコの国花である「ダリア」にちなんでいます。

それから間もなく、米国は禁酒法施行（1920年）で「暗黒の時代」を迎える。もぐり酒場はあるとは言え、酒好きの人間にはその後13年間もつらい日々が続くことになった。一方で、ロングアイランドアイスティーのように度数が高いカクテルも人気を集めており、これも時代の変化が伺えます。

例えばオールド・ファッションドは、19世紀末に誕生した代表的なクラシック。ライ・ウイスキー（またはバーボン・ウイスキー）をベースに、アロマチック・ビターズ、角砂糖、氷、オレンジ・スライスなどというシンプルなレシピだから、アレンジもしやすい。ネグローニも、ジン、カンパリ、スイート・ベルモットという３つの材料のコンビネーションなので、バーテンダーの「ひと工夫」の余地が大きい。マティーニも、近年ではフルーツ系材料との組み合わせや、エスプレッソ・マティーニなど進化系が人気だ。

ちなみに、ソルティドッグから塩を取り除いたタイプのカクテルは「ブルドッグ」と呼ばれています。ロンドンで作られたレシピ集の中で、初めて「カクテル」という名前が使われました。味もさっぱりしていて、スノースタイルの塩加減が絶妙なソルティドッグは、お酒に強くない女性にも飲みやすいので人気が高かったのも納得です。一昔前までは男性が女性を酔わせるためのカクテルとして知られていましたが、今では女性が自分から進んで注文するカクテルに。カクテルの中でも定番中の定番で、女性からは悩まれた結果「とりあえずカシスオレンジで！」と注文を受けることが多かったです。